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最高裁判所第二小法廷 昭和39年(オ)87号 判決

上告人

星野吉蔵

右訴訟代理人弁護士

相良有朋

飯山一司

被上告人

岡本久伊

ほか二名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人相良有朋、同飯山一司の上告理由第一点について。<省略>

同二点について。

しかし、所論の点についての原判決の判断は、当裁判所も正当としてこれを是認することができる。

所論は、独自の見解に立つて原判決を非難するものであつて、採用しがたい。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官奥野健一 裁判官山田作之助 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外)

(注) 所論の点の原判決の判示(東京高裁昭和三七年(ネ)第二九〇五号、同三八年一〇月二三日言渡)は、次のとおりである。

被控訴人(注、被告)は、昭和三十六年五月六日被控訴人に対してなされた農地法第三条の許可は、その後になされた控訴人等(注、原告ら)に対する農地法第五条の許可に優先するから、後者は無効であると主張するけれども、農地法第三条及び第五条の定める許可は、当事者の法律行為が国家の同意を得なければ有効に成立することを得ない場合に、これに同意を与えてその効力を完成せしめる行為であつて、私法上の権利関係の優劣は、許可の先後によつて決定せられるものではなく、私法の一般原則によつて決定せられるものというべきであるから、同一の目的物について複数の許可がなされても後の許可をもつて当然無効と解することはできない。従つて、被控訴人の右主張はこれを排斥する。

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